これからの「暮らし」を考える。
このプロジェクトはそんな話から始まりました。
人口が減り、高齢者が増える。
若い人の住宅取得率が下がり、家をシェアする人々が現れる現在において、
一つのユニットとして一つ屋根の下に住む人数が減っていくのではないか。
いわゆる核家族は減り、4人家族を標準設計とした間取りは、部屋を持て余す計画となります。
高齢な夫婦、若いカップル、シングルの親と子、友人数人 etc.
そんな社会において求められる家の大きさは小さいものになってくるのではないか。
僕らはそんな風に考えました。
そこで出てきた一つの道が「小さな家」です。
決して小さいことが後ろ向きな意味ではありません。
余分なものを脱ぎ捨て、シンプルに暮らす。
そんな家があっても良いのではないかと思います。
○LDKと表される家の意味も変わってくるのではないでしょうか。
これまでは、各個室にプライベートがあり、みんなで集うリビングダイニングが
パブリック空間として家の真ん中に大きく陣取っていました。
でも、「小さな家」では干渉しあう人数が少ないのでリビングだって
個室の延長で使う事だって可能です。言い換えると部屋を並べる意味がなくなります。
同居者と言えど、生活時間帯が変わればいわゆるLDKに一人しかいない時間って
意外にあると思いませんか?
だから、各住居とも大きなワンルームに寝室や納戸を想定した小さな部屋が最低限設定されているだけです。
少し見え方を変えるだけで、「小さな家」は無駄なく大きく暮らせる空間となるのです。
また、「MA」は同じコンセプトのもとに作られた住戸が集まって
小さなコミュニティーを形成しています。
通常ならば家の前はただの道路が通るだけの空間ですが、今回の計画ではその外部空間も
家の庭の延長のような雰囲気が感じられるような工夫がされています。庭と道路の仕上げを
一体としてそこに浮かび上がるサークルが一体感を増幅させてくれます。近隣とも緩やかな
コミュニケーションが生まれる場となると思います。
「MA」はそんな「暮らし」の提案です。